ここは空の中。

太陽の輝きは激しく、綿状の白雲が一面に広がっている。

青と白と光だけの世界に、巨大な四角錐が浮いていた。

何時からあったのか。しかし、その四角錐は、確固たる存在としてそこに在った。

遠目には磨いた切石で組まれたように見えるそれは、砂で出来ていた。

その巨体に風が砕けるたび、砂粒は、煙がごとく宙へ散る。

空を砂色に染めながら、四角錐は次第に姿を減じた。

四角錐は依然形を保ち続けているものの。

煙はとめどなく風に流れてゆき。

その姿はもはや巨体とも。

空は青く白く。

ついには。

四角。

消。

空。

雲。

…。

砂。

砂。

砂。

砂。

砂。

渦巻。

砂が集。

四角錐が。

空が再び砂色に。

砂は在るべき場所に戻るがごとく。

その勢いは強風にさえ止めること叶わず。

吹き荒ぶ砂の中心で、四角錐の姿は増さり続ける。

膨張を繰り返す四角錐は先刻より―――――――――――。

雲を抜けた飛行機が、砂の巨体を貫いた。

エンジンの轟音が響く中、静かに四角錐が砕け散る。

飛行機は何一つ気づかないまま、快適な空の旅を続けた。

2016/11/12

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