がらんと広く、白い部屋。

そこに、小さな箱があった。

その絹のような白さは、純白と呼ぶにふさわしく、

その角ばった形は、比類無く立方体である。

至上の美を体現したかのようなその箱は、

見る者にイデアの実在を思わせる程、穢れ無く完全であり、

その高貴な姿をゴスッ。

…………?

何かが、箱を突き飛ばした。

棒だ。

細い円柱状のそれが、宙に浮いた箱を追う。

追いつく。

そして。

ベゴオオン。

床に叩きつけた。

衝撃に部屋が揺れる。

箱には、傷一つゴッ。

箱が浮く。

ゴッゴッゴスッガゴッゴズッゴッゴッ。

箱は、宙高く突き上げらメシッ。

大きな棒が、箱を打つ。

ドオオオン。

壁に叩き込まれた箱は、僅かにひしゃげメキッ。

箱は再び宙にゴッ。

そのまま床メキャアアアアアア。

鉄球だ。

箱は宙ガッゴゴスッメシッガッガガッゴッガッ。

棒が増えていた。その数は、十、二十、四十、百メギャアアアアアアアア。

鉄球が、棒ごと、箱を轢く。その数、十、二十、四ゴギャアアアアアアアア。

鉄球同士が、ぶつかり砕ける。砕けた側からまた増える。

ゴガギャズゴオガガギャゴドゴガガガズゴギャガアアアアアアアアア。

破片が部屋に吹き荒れる。もはや箱は見えない。

ギャガドゴガゴズドガガゴグギャゴガドドドガガゴギャゴオオオオオオオオオ。

ゴギャゴゴガグガギャメシャゴズドダアゴゴズガドギャゴガガゴオ。

パアッ――――。

突然、白い光が満ちた。

光が去ると、部屋の中は何もかもが焼けていた。

それらはそのまま灰となり、やがてその灰も消えた。

白い部屋には何も無く、いや。

小さな箱が現れた。

がらんと広く、白い部屋。

部屋には箱だけがあった。

2016/10/29

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