跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

ボールが一つ、跳ねている。

眩しい照明。床にはワックス。

体育館には、ボールだけ。

黒いボールは、真上に跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

ボールは手毬のようにも見えるが、

ひしゃげず、張り良く、跳ねている。

体育館に音が鳴る。

見る人も無く、聞く人も無く。

ボールが一つ、跳ねている。

ボールが一つ、跳ねている。

ボールがボールが一つ一つ、跳ねて跳ねて――――。

――――。

ボールが二つ、跳ねていた。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

ボールがぶつかり、分かたれる。

一つのボールは東の壁へ。

一つのボールは西側へ。

東で東でボールがボールが壁へと壁へとぶつかるぶつかる。

西でも西でもボールがボールがぶつかったぶつかった。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねるとボールが二つにはじけた。

二倍の二倍の二倍の二倍の、

そのまた二倍の二倍の二倍の。

体育館をボールが埋める。

床も見えない。壁も見えない。

照明さえも黒が呑む。

けれどもボールはひたすら跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。跳ねる。

その時、扉が開いた。

男子高校生は体育館の中を覗いた。

だだっ広いその空間に、目立ったものは無い。

照明だけがひたすら眩しい。

男子高校生は首を傾げる。

彼は照明を消すと、その体育館を立ち去った。

2016/11/05

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